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コラム

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プラスチック成形とは?主な成形工法や選定のポイントを解説!

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プラスチック製品は、私たちの生活のあらゆる場面で不可欠な存在です。
スマートフォン、家電製品、自動車部品、医療機器に至るまで、その用途は多岐にわたります。
これらの製品を生み出す上で欠かせないのが「プラスチック成形」技術です。

しかし、製造業の設計担当者様の中には、「どの成形工法を選べば良いのか」「コストと品質のバランスはどう取るべきか」といった疑問や課題をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、本記事では、プラスチック成形の基礎知識から、主要な成形工法ごとの特徴、そして最適な工法を選定するための具体的なポイントまでを、わかりやすく解説します。

プラスチック成形とは?

プラスチック成形とは、プラスチック材料に熱や圧力を加え、目的の形状に加工する技術の総称です。この技術により、複雑な形状の部品を効率的に大量生産することが可能となり、現代社会の多様な製品を支えています。

プラスチック材料には、大きく分けて「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」の2種類があります。

熱可塑性樹脂

加熱すると軟化し、冷却すると固化する性質を持ち、再加熱すれば再び軟化するため、リサイクルが比較的容易です。(例:PP、PE、PS、PET、PVC、ABS、PC、PAなど)

熱硬化性樹脂

加熱すると化学反応を起こして硬化し、一度固まると再加熱しても軟化しない性質を持ちます。高い耐熱性や強度が必要な製品に用いられます。(例:フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)

プラスチック成形では、これらの樹脂の特性を最大限に活かし、製品の用途や求められる性能に応じて最適な工法が選択されます。

主なプラスチック成形工法

射出成形の仕組みと工程

射出成形の仕組みと工程

射出成形は、熱可塑性樹脂を加熱・溶融させ、スクリューの回転と前進によって金型内に高圧で射出充填し、冷却・固化させて成形品を取り出す工法です。

金型は製品の形状に合わせて精密に作られており、射出された樹脂が金型内で冷え固まることで、複雑な形状の製品を効率よく生産できます。

主な工程

  1. 材料供給:ペレット状の樹脂材料をホッパーから供給します。
  2. 溶融・計量:ヒーターとスクリューによって樹脂を加熱・溶融させ、金型に射出する量を計量します。
  3. 射出:溶融した樹脂を金型内に高圧で射出・充填します。
  4. 保圧・冷却:金型内で樹脂が収縮するのを防ぐため圧力をかけ続け(保圧)、冷却水などで金型を冷やして樹脂を固化させます。
  5. 型開き・取り出し:樹脂が固まったら金型を開き、成形品を取り出します。

射出成形のメリット・デメリット

メリット
  • 複雑な形状や高精度な製品の大量生産に適している
  • 寸法安定性が高く、品質が均一
  • 自動化が容易で、人件費を抑えられる
  • 表面仕上げが美しく、後加工を削減できる場合が多い
デメリット
  • 金型製作費用が高額
  • 大型製品の成形には不向きな場合がある
  • 成形条件の設定が複雑で、熟練の技術が必要
  • 少量生産にはコストが見合わないことが多い

射出成形が適している製品例

  • 家電製品の筐体や内部部品(テレビ、エアコン、洗濯機など)
  • 自動車部品(インパネ、バンパー、ランプカバーなど)
  • 容器(食品容器、化粧品容器、医療用容器など)
  • 日用品(文房具、食器、おもちゃなど)
  • 精密部品(コネクタ、ギア、スイッチなど)

押出成形

押出成形の仕組みと工程

押出成形は、熱可塑性樹脂を加熱・溶融させ、スクリューで連続的にダイス(口金)を通して押し出し、一定の断面形状を持つ製品を成形する工法です。
パイプ、シート、フィルム、異形材など、長尺で均一な断面を持つ製品の製造に適しています。

主な工程

  1. 材料供給:ペレット状の樹脂材料をホッパーから供給します。
  2. 溶融・混練:ヒーターとスクリューによって樹脂を加熱・溶融させ、均一に混練します。
  3. 押出:溶融した樹脂をダイスを通して押し出し、連続的に成形します。
  4. 冷却・固化:水槽や冷却ロールなどで成形品を冷却・固化させます。
  5. 引き取り・切断:冷却された成形品を一定の速度で引き取り、必要な長さに切断または巻き取ります。

押出成形のメリット・デメリット

メリット
  • 長尺製品や連続生産が可能
  • 生産効率が高く、大量生産に適している
  • 金型費用が比較的安価
  • 様々な断面形状に対応可能(ダイス設計による)
デメリット
  • 複雑な三次元形状の成形には不向き
  • 製品の断面形状が限定される
  • 材料の選択肢が射出成形に比べて少ない場合がある

押出成形が適している製品例

  • パイプ、ホース(水道管、ガス管、医療用チューブなど)
  • シート、フィルム(食品包装材、農業用シート、建材など)
  • 電線被覆、ケーブル
  • 建材(サッシ、モールディング、パネルなど)
  • 異形材(工業用プロファイル、シール材など)

ブロー成形

ブロー成形の仕組みと工程

ブロー成形は、熱可塑性樹脂を溶融させて作った筒状のパリソン(またはプリフォーム)を金型内に挟み込み、空気を吹き込むことで膨らませて金型内壁に密着させ、中空形状の製品を成形する工法です。
ペットボトルやタンクなど、内部が空洞の製品製造に広く用いられます。

主な工程

  1. パリソン(またはプリフォーム)生成:押出機で筒状のパリソンを押し出すか、射出成形でプリフォーム(試験管のような形状)を成形します。
  2. 型締め:加熱されたパリソン(またはプリフォーム)を金型で挟み込みます。
  3. 空気吹き込み:金型内部に圧縮空気を吹き込み、パリソンを膨らませて金型内壁に密着させます。
  4. 冷却・固化:金型を冷却し、樹脂を固化させます。
  5. 型開き・取り出し:金型を開き、成形品を取り出します。

ブロー成形のメリット・デメリット

メリット
  • 複雑な中空形状を一体成形できる
  • 金型費用が比較的安価
  • 大型の容器も製造可能
  • 軽量化に貢献できる
デメリット
  • 肉厚の均一性を保つのが難しい場合がある
  • 開口部の精度が出しにくい
  • 成形可能な材料が限定される
  • 複雑な外部形状には不向き

ブロー成形が適している製品例

  • ペットボトル、プラスチックボトル(飲料、洗剤、シャンプーなど)
  • タンク、容器(燃料タンク、貯水タンク、化学薬品容器など)
  • 自動車部品(ダクト、リザーバータンクなど)
  • おもちゃ(ボール、人形の胴体など)

真空成形・圧空成形

真空成形・圧空成形の仕組みと工程

真空成形および圧空成形は、加熱して軟化させたプラスチックシートを型に密着させて成形する工法です。
真空成形はシートと型の間を真空にして大気圧でシートを型に押し付け、圧空成形は型の上から空気を吹き付けてシートを型に押し付けます。
圧空成形の方がよりシャープな形状や細部の再現性に優れます。

主な工程

  1. シート加熱:プラスチックシートをヒーターで加熱し、軟化させます。
  2. 型にセット:軟化したシートを成形型の上にセットし、シートの周囲をクランプで固定します。
  3. 成形(真空/圧空):
    1. 真空成形:型とシートの間を真空ポンプで吸引し、大気圧でシートを型に密着させます。
    2. 圧空成形:シートの上から圧縮空気を吹き付け、シートを型に密着させます。
  4. 冷却・固化:シートを冷却し、形状を固定します。
  5. 取り出し・トリミング:成形品を型から取り出し、余分な部分をトリミングして完成させます。

真空成形・圧空成形のメリット・デメリット

メリット
  • 金型製作費用が比較的安価で、短納期で製作可能
  • 大型製品の成形に適している
  • 試作や小ロット生産にも対応しやすい
  • 材料ロスが少ない
デメリット
  • 肉厚の均一性を保つのが難しい(特に深絞り加工)
  • 複雑な形状や高精度な寸法が求められる製品には不向き
  • アンダーカットのある形状は成形できない
  • 成形後のトリミング作業が必要

真空成形・圧空成形が適している製品例

  • 食品トレー、ブリスターパック
  • 自動車内装部品(ドアトリム、トランクマットなど)
  • 家電製品のカバーや内装部品
  • 看板、ディスプレイ
  • 医療用トレイ、機器カバー

その他の主要なプラスチック成形工法

圧縮成形

圧縮成形は、主に熱硬化性樹脂の粉末やシート状の材料を加熱した金型に投入し、金型を閉じて高圧で圧縮しながら加熱することで化学反応を起こさせ、硬化させる工法です。
熱硬化性樹脂特有の高い耐熱性や強度を活かした製品製造に適しています。

  • メリット:熱硬化性樹脂の成形に適しており、大型で厚肉な製品や反りの少ない製品を成形できる。高い強度や耐熱性が得られる。
  • デメリット:サイクルタイムが長く、生産効率が低い。複雑な形状には不向き。
  • 適している製品例:電化製品の筐体、自動車部品(FRPなど)、ブレーカー部品、食器(メラミン食器など)。

回転成形

回転成形は、粉末状の熱可塑性樹脂を金型に入れ、金型を多軸で回転させながら加熱することで、樹脂を金型内壁に付着・溶融させ、冷却して中空製品を成形する工法です。
大型で複雑な中空形状の製品を一体成形するのに適しています。

  • メリット:大型で複雑な中空製品を一体成形できる。金型費用が比較的安価。肉厚が比較的均一に保てる。
  • デメリット:サイクルタイムが長く、生産性が低い。成形可能な材料が限定される。寸法精度が出しにくい。
  • 適している製品例:貯水タンク、燃料タンク、遊具、大型容器、カヤック。

最適なプラスチック成形工法を選定する際のポイント

製品の設計段階において、どのプラスチック成形工法を選択するかは、製品の品質、コスト、納期、そして市場競争力に大きく影響します。

設計担当者様が最適な工法を選定するための重要なポイントを解説します。

製品の形状・サイズ・構造

  • 複雑な形状や高精度:射出成形が最も適しています。アンダーカットの有無や肉厚の均一性も考慮が必要です。
  • 長尺で均一な断面:押出成形が有力な選択肢となります。
  • 中空形状:ブロー成形や回転成形が適していますが、肉厚の均一性や開口部の精度で選択が変わります。
  • 大型でシンプルな形状:真空成形・圧空成形がコストと納期面で優位な場合があります。

生産ロット数とコストのバランス

  • 大量生産:射出成形や押出成形は初期投資(金型費用)が高いものの、生産効率が高く、製品単価を抑えられます。
  • 少量生産・試作:真空成形・圧空成形や回転成形は金型費用が安価で、小ロットでもコストを抑えやすいです。
  • 金型費用:各工法で金型の構造や材質が異なり、費用も大きく変動します。総生産量を見越した上で、金型償却費を含めたトータルコストで比較検討が必要です。

使用するプラスチック材料の種類と特性

  • 熱可塑性樹脂:射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、回転成形など、ほとんどの工法で対応可能です。材料の耐熱性、強度、耐薬品性、透明性などを考慮します。
  • 熱硬化性樹脂:圧縮成形が主な選択肢となります。高い耐熱性や電気絶縁性が必要な場合に検討します。
  • 特殊材料:エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックなど、特定の性能が求められる場合は、その材料に適した成形条件や設備が必要になります。

求められる品質・精度と表面処理

  • 高精度・高外観品質:射出成形が最も得意とするところです。金型の表面仕上げが直接製品に反映されます。
  • 寸法精度:特に厳しい寸法公差が求められる場合は、射出成形の選択肢が強くなります。
  • 表面処理:塗装、メッキ、印刷などの後加工が必要な場合、成形品の表面状態がその後の工程に影響します。

後加工の有無と工程の効率化

  • 一体成形:ブロー成形や回転成形は中空製品を一体で成形できるため、組立工程を削減できます。
  • トリミング:真空成形・圧空成形では成形後に不要な部分をカットするトリミング作業が発生します。これが工程全体のコストや時間に影響します。
  • インサート成形:射出成形では、金属部品などを金型内にセットして樹脂と一体化させるインサート成形が可能です。

環境負荷への配慮とリサイクル性

  • リサイクル性:熱可塑性樹脂を使用する工法は、リサイクルが比較的容易です。環境配慮型製品の開発では、材料選定と工法選定が重要になります。
  • 材料ロス:各工法で発生する材料ロスの量や、その再利用の可否も環境負荷の観点から検討すべきです。
  • 省エネルギー:成形機の消費電力や冷却に必要なエネルギーなど、製造工程全体のエネルギー効率も考慮に入れると良いでしょう。

まとめ

製品の用途や求められる品質、生産ロット数、コスト、そして環境負荷など、多岐にわたる要素を総合的に考慮し、最適なプラスチック成形工法を選定することは、製品開発の成功に不可欠です。

「どの工法が自社の製品に最適なのか」「コストと品質のバランスをどう取るべきか」といったお悩みをお持ちの設計担当者様は、ぜひ専門家にご相談ください。

リズム株式会社では、長年の経験と実績に基づき、お客様のニーズに合わせた最適な端子、金属プレス、プラスチック成形、アッセンブリのソリューションをご提案いたします。
製品開発でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

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